コーヒーカップ

to TOP
お問い合わせ イベント情報

ブログ BLOG

ブログ

ホームページからのお問い合わせ、
最近では、営業される側のお問い合わせが送られてくることが多いが。

先日、少し変わったお問い合わせをいただいた。


『高等学校のものなんですが今回はご相談がありまして、お問い合わせさせていただきました。
そのご相談というのが、今年の文化祭で2年6組ではアトラクションのコーヒーカップを作ろうと考えています。
そのために板材や鉄パイプが必要になってきます。ですが、現在予算ギリギリになる可能性が出てきてしまい、今回西紋建匠株式会社さんにご協力いただけないかなというお願いでお問い合わせさせていただきました。もし、余っている板材や鉄パイプなどがあれば少しでもいいのでいただけないでしょうか。お返事お待ちしております。』

という内容だった。
へー、学祭があるんや、と思いながら高校を調べてみると、ここからとても近い高校だった。
コーヒーカップを作るための板材やパイプ?って、何?
と思い、こちらから電話しても出られないので、メールで返信しておいた。

返信したものの、先方から返事がなく、まーたぶん、問題なくいけたんだろうな、と思っていた矢先電話が。
「〇〇高校の担任の者です、」先生からだった。

「すいません、生徒から連絡させてもらっていたんですが、コーヒーカップの件で…」
あ、いよいよコーヒーカップの謎が解ける時がやってきた(笑)
「クラスの生徒たちがついつい盛り上がってしまい、コーヒーカップを作ろうということになってしまって、その材料や作り方を…」
「先生すいません、そうそう、コーヒーカップの件で、木材や鉄パイプとあったのですが、それはいったいどんなコーヒーカップを作ろうとされているんですか?」
「あ、すいません。コーヒーカップというのは、遊園地などで回っているようなコーヒーカップでして…、YouTubeで、コーヒーカップ、文化祭、と検索していただけますか。」と
「コーヒーカップ 文化祭、ですね、わかりました、」

そうすると、そこにはDIYでにぎやかな色で塗装した人が入れそうな箱の横に、おじさんが建っていて、鉄パイプの組み方を説明している動画だった。箱を2つ作って、浮かせて鉄パイプでつなぎ、真ん中を軸に箱に座っている人を回す、という仕組み。

あー、コーヒーカップね(笑)遊園地にあるようなやつを教室でつくるんだな。そこでやっと合点行った。

先生が続けた「それでですね、材料はなんとかいったのですが、組み立ててゆくといろいろと問題が出てきまして。うまくいくようにご指導いただけないかと…」
「いやー、そんなんできますかね…」生徒たちが、ゆっくりばこに質問に来てくれるというのだが、モノがそちらにあるのならそれを見て話した方が早いので、高校にお伺いすることにした。

授業が終わる時間に合わせて、高校に行かせていただくことになった。
普段、地域の高校に出入りすることはなく、少し楽しみでもあった。
約束のの時間に車で高校に着くと、駐車場にそれらしき男性がいた、そんな年配でもない男性で、「あ、先生ですか」と声をかけると、やはり担任の先生だった。
玄関で来客用のスリッパをお借りして、教室まで先生と話しながら歩き始めた。授業終わりということもあってか、廊下にはたくさんの生徒さんが談笑しながら歩いていた。先生と高校卒業後の進路や、今回の文化祭のいきさつなど、聞きながらクラスの生徒さんの熱量などを推測しようと試みた。

クラスは3階にあった、玄関からは結構歩いた。
クラスに入ると、机といすは普段の授業体系とは違い、端に寄せられて、真ん中にまさにこれであろう「コーヒーカップ」が置かれていた。
生徒たちは、周りに置かれた椅子や机の近くで、そんな熱心ではない感じでこちらをちらっと見たりする感じだった。数年前、建築系の専門学校で、非常勤講師をさせていただいていたことがあった。その時も、学生さんたちはどちらかというとクールな感じの学生が多かった。そんな中授業では、うまく生徒さんたちを乗せる必要があったので、大体の空気感はわかっていたつもりだった。

「それじゃ、質問を聞いてみてー」先生が生徒みんなに号令をかけた。
といっても、生徒たちは教室の外周でいてる生徒が多く、根掘り葉掘り聞いてくる感じではなかったので、こちらで今できているコーヒーカップを触ったり動かしたりしながら現状の問題点を探そうとした。
そうしていると一人の女生徒から、「その鉄パイプが動くんですが、大丈夫ですか?」と一言聞こえてきた。
真ん中を軸に回るふたつのコーヒーカップ。コーヒーカップの下には台車車があり、それらの車はある程度安定はしていた、真ん中の軸のそばにもうひとつ台車車のセットがあり、それらが、コーヒーカップを回していると歪んでしまい台車車としての機能が果たせずにいた。
普段木造建築メインで仕事しているので、鉄パイプの役物の動きがあまりわからなかった。試行錯誤してみたがどうも固定することができずに、これは聞いた方が早いな、ということで足場屋さんにテレビ電話することにした。

「すいません、お仕事中。少し仕事とは別のお話で押しててもらいたいことが。」教室の全体の風景をスマホで写しながら、現在の状況を伝えた。足場屋さんは快く受けてくれた。
「今、高校に来ていて、ここ教室なんですが。生徒さんが学祭でこんなアトラクションを作っていて、ここの真ん中の軸に近い車輪が動いてしまうんです。」と言いながら、水平と垂直の鉄管をつないでいるクランプを動かしながらスマホで写してみた。
「んー、それは可動式のクランプで…、固定することができず動いてしまうなー」
そうか、可動式のクランプだったか、それは仕方がない。丁重にお礼を言いスマホのテレビ電話を切った。

「そしたら、真ん中の車輪を外してみようか、軸だけで持つんじゃないかな」生徒さん誰か一人に言う感じではなく、教室にいる皆に聞こえるように少し大きめの声を発してみた。
そうすると、何人かが外周から出てきて、器用にクランプを外しだした。確かに、ここまでくみ上げるには相当な試行錯誤と時間を要したんだと思う、その結果、ある程度鉄管の使い方に慣れてしまったところもあるのだろう。
真ん中の車輪を外すと、外周の車輪と真ん中の軸だけで持つ形になった。生徒たちは、また慣れた手つきで箱の乗っていないコーヒーカップの鉄管の部分だけを回しだした。
「お、ええやん、真ん中の車輪がなくても回るやん!」
しばらくはその状態で鉄管の骨組みは廻っていいたが、次の瞬間、真ん中の軸が斜めに倒れだした。
あー、さっき外した車輪は、軸を安定に保つための役割もしていたんだな。

そこからは、真ん中の軸が倒れないようにどのように固定するのか?という条件が残った。
また、それは安全に人を乗せて運航できるか、という課題も含んでいた。
軸の鉄管と水平の鉄管を筋交いのような鉄管で固定する方法をいくつか提案した。生徒たちは真剣に話を聞き、こうしたらいい、ああしたらいいと外野から声が聞こえてきた。

そんなところで私の役割が終わり、先生と少し話した。
勢いあまって、こんなことをしたい、と盛り上がって、それに対しての問題点や課題を挙げながら皆で前に進んでいくこと。これは、現在仕事をしている建築業、木の家づくりの設計や現場でも毎日同じようなことが繰り返される。大まかなプロセスは同じ流れだが、家一軒一軒、同じものはない。それぞれに住む方がおられて、それらの要望を形にすべく、設計や現場で職人さんたちを切磋琢磨な日々を送っているのだ。その結果、完成したものに対する愛着がわき、住まい手を含むチームとしての達成感が得られるのである。

ものづくりは同じだ。生徒たちから情熱を感じながら学校を後にした。

学祭を控えたある日、先生からお電話をいただいた。
「先日はありがとうございました。おかげさまで軸の安定もできて、今、人が乗るコーヒーカップの箱作りをしているところなんです。」
「あー、それは良かった。どうなったのかと思っていましたが。」
「ありがとうございます、で、ですね、ぜひ学祭にお越しいただきたいとチケットを確保しました。ぜひお越しください。また、生徒にチケットをもっていかせますので。」
ありがたく、チケットをいただくことにした。

約束の日時に、女子高生ふたりが自転車でゆっくりばこにやってきた。
先日教室に行った時のよそよそし感がなく、元気いっぱいという感じでチケットを持ってきてくれた。
ふたりとも、高校から少し離れた地域から自転車で通学しているそうだ。青色の台紙に、学祭入場チケットと印刷され、紹介者の学生の名前が手書きで書かれていた。そこまでしてもらうと、行かないわかにいかないな、と内心思った。

学祭当日、ここ最近雨続きだった天気が、この日は快晴の秋晴れ、少し暑いが学祭日和だった。
学祭の時間は、9時から15時までとあった。
朝から、地鎮祭の予定で、地鎮祭後の現場での建物配置確認まで重要な打ち合わせをしっかり終えた。ゆっくりばこに帰ってくると、昼を少し回っていた。少し休憩してから学祭に向かった。車の駐車場はないようなので、原付で向かった。ゆっくりばこからは5分程度。通っていた病院の近くに高校がある。学校についたが、校門まわりは人が少なく、受付ブースはスタッフの学生さんが待っていてくれた。先日いただいたチケットに自分の名前と連絡先を書き、渡すと青いリストバンドを渡してくれた。入場者についてはしっかり管理されているようだった。

校内に入ると、イベント告知の黒板があり、13時05分~ダンス部 と書かれていた。
時計を見ると、13時10分を少し過ぎていた。が、とりあえず体育館を目指すことにした。校門前の閑散とした雰囲気とは別に、体育館に入るとものすごい熱気で皆が舞台の方を観ていた。満員のお客さんが手を振ったり応援の掛け声をあげたりして盛り上がっていた。時間を過ぎていたので、体育館に入るとしばらくしてダンス部の演舞は終わり、次の3年生のクラス別ダンス発表会の準備に入った。さっきからどおりでそんな衣装を着ている学生が多いわけだ。手作りでいろんな文字などでデコレーションされた衣装。舞台横では、これから発表するクラスがエンジンを組んで、真ん中の学生が掛け声をあげ、それを皆で盛り上げて一斉に掛け声を発していた。

さっきまで舞台横に待機していた学生たちは、時間になると自分たちの演舞を始めた。アップテンポな洋楽が流れそれに合わせ女子学生が踊りだしたと思うと、男子学生もそれに続いた。これだけ長い時間、ここまで皆で合わせるのは大変だっただろう、長い時間を費やしながら皆で練習したのだろう、そんなバックグランドが伝わってきた。

2クラスほどダンスを観ていたが、学祭が15時までをチケットに記載されているのを思い出し、いよいよ本題に向かうことにした。2階の体育館の入り口付近から学内の廊下は学生さんや親御さんと思われる方々で盛り上がっていた。各クラスルームでは工夫を凝らしたアトラクションが用意されお客さんを引き入れていた。確か3階だったよな、と最上階まで階段を上がると、その長い廊下も同じように仮装した学生さんたちが楽しそうに談笑している。端からクラスルームを見ていく、コーヒーカップ、ないよな。たくさんのアトラクションを経て歩く、その最後、一番端のクラスにひと際派手に銀ギラの暖簾でデコレーションされた入口があり、その奥にまた派手にデコレーションされ手書きでたくさんペイントされた箱二つをつなぐように鉄管があり、その中心に軸が固定されている。掛け声とともに、箱の外にいる生徒さんが楽しそうに、それぞれ少し小走りになりながら走り出した。そうすると、真ん中の軸を中心にコーヒーカップが回りだした。

教室に入ると先日ゆっくりばこにきてくれた学生さんが、「あっ」と私に気づいてくれた。先生もおられ「よく来ていただきました、おかげさまでうまくいったんですよ」と満面の笑みで話してくれた。
さっきの学生さんが先生に、「ただで乗ってもらったら良いんですよね?」と話すのが聞こえてきた。1回80円、確か先日チケットを持ってきてくれた時にそう聞いた覚えがある。「がんばらないといけないんですよー」と言っていた。
先生にお金の支払い方法をおたずねすると、金券売り場でチケットが販売されていてそこで金券を購入してそれを各クラスのアトラクションに持っていって入場。その後、金券で各クラスに金額として分配される、という仕組みらしかった。クラスを出て、金券ショップに向かった。図書室の入り口あたりに名が机が置いてあって金券売り場として機能していた。金券は1枚20円が10枚綴り、つまり10枚で1綴り200円で販売されていた。そこで10綴り購入すると、もとの教室に戻った。入口では、コーヒーカップ乗車の受付を男子学生二人がやっていた。渡された10枚綴りのケットを、20円×4枚をハサミで切り取り、ノートに丁寧に貼っていた。学生さんに先ほど購入した10綴り全部を渡すと一人の学生さんが80円分を切はじめた。「いや、全部で。カンパです。」というと学生さんは驚いたような表情でありがとうございます!と元気よく返してくれた。

教室の周りに置かれた椅子に腰を掛けて、私の順番の前のお客さんのコーヒーカップが回りだしたのを観る。廊下から観ているのとは違い、近くで観るとなかなかの迫力だ。外周の男子学生ふたりが少し勢いをつけて走り出す。コーヒーカップの中のお客さんは、キャーと完成をあげながらぐるぐると教室を廻る。普段の授業の会場としては非日常な状態だ。少しずつ勢いはおさまり、スローダウンしてゆく。いよいよ私の番だ。

人が乗るぎりぎりの大きさに作られたコーヒーカップ。コーヒーカップは生地に白ペンキが塗ってありその上にトランプの柄などをちりばめにぎやかな雰囲気を醸し出している。鉄管の上に置いてあるので、乗ると少々高くて周りを見下ろす感じがして気持ちが良い。その回のお客さんは私一人だったので、さっきの女子学生がバランスをとるために反対側に乗ってくれた。さー、廻るぞ。外にスタンバっている男子学生が勢いを付けながら走り出した。教室全体、空を飛んでいるような感覚になりながら、ぐるぐると視界が廻る中、対面の女学生だけが静止して、笑いながらこちらを見ている。乗る前までは少し恥ずかしい感覚があったが、実際に乗ってみると迫力があり、そして達成感のような感覚がわいてきた。数分廻ったあと、コーヒーカップはスピードを緩めた。降りてから、先生にお礼を言いに行こうとすると、先生はスマホを掲げ、次に廻るお客さんを撮影し始めた。また元気よく廻るのを待つと、先生は撮影していたスマホをお客さんに渡した。お客さんの動画を撮影していたのだった。

先生と話すタイミングになり、観客の椅子あたりでお礼を言った、
「ありがとうございました…、」
と、言ったところで、次の言葉が出てこなくなった。先生は、こちらの話を聞き入れるように、盛り上がった教室の中で耳を傾けてくれた。
それでも、次の言葉が出てこない…
言葉を発すると、涙がでてきそうで、ここで泣くにはかっこ悪いと思い必死で我慢した。
15秒だったか、30秒もなかったか、先生との間で沈黙があり、落ちこともできないままなんとか声を絞り出した。
「ほんと、ありがとうございました。なんでもトライすること、生徒さんに伝えてください…」

大きくまとめるとそんな内容を伝えたかったのか。
私の会社のホームページを見つけだし問い合わせメッセージを送り、またコーヒーカップの作り方を考えながら、私も一緒になって考えて。少しの間だったが、学生時代を思い出した、そんな日々もあったよな。あれから時間が経っても青春時代を過ごす学生がいて、皆それぞれに熱い思いをもって同志たちと切磋琢磨頑張っている、モノづくりの原点を見つめ直すこともできた時間でもあった。
そして、一緒に地域の中に在って、一つのことに取り組めた感動があった。ひょんなことから縁がつながり、それは偶然ではなく必然に人生は廻ってゆく。


ぐるぐるぐるぐる、生徒たちが必死で考えて固定された軸を中心に、コーヒーカップが教室を回り続けている。
教室を後にしても、教室から歓声が聞こえ続けた。

イベント情報 EVENT

堺市の工務店の注文住宅イベント情報

お問い合わせ CONTACT

堺市の工務店に注文住宅のお問い合わせ