結露計算
新住協関西youtubeliveで、結露計算のお題をいただきました。選択している施工方法や部材で、結露が起きないか確認する方法として結露計算を実施しているかどうか、というご質問でした。「結露」というと、冬の寒い朝、アルミやシングルガラスに滝のように滴り落ちる水をふき取った昔の話を思い出します。我が家は、泉北ニュータウンで公団のマンションなんですけど、既存はアルミにシングルガラスのサッシがついていて、おまけに掃き出しのガラスの上部に、小さな引き違いのガラスになっていて、気密も断熱もない窓サッシでした。しばらく住んでから、これは寒い!ということになり、室内側に樹脂サッシをもう一枚設置して、いわゆるインプラスですね、そうすることによって寒さもかなり改善されたし、窓の結露もかなりましになりました。それでも、外の窓と内の窓の間の外の窓に少し結露しますけどね。
ということで、結露はというと、温かく湿った空気が冷たい部分に接すると空気内に保たれていた水蒸気が水となって現れる現象、ということになります。先ほど記述したように、冬の寒い朝の窓の表面が…というイメージはあるのですが、実は夏に結露したり、または表面だけではなく壁の中でも結露する可能性があります。それらを結露計算によって検討しておくということは大切な手法です。結露の種類としては4種類あるといわれており、冬の表面結露と内部結露。そして、夏の表面結露と内部結露です。それぞれ、理屈としては温かく湿った空気が冷たい部分にあたる、で間違いないです。その結露をコントロールするには、断熱性能、透湿性能、気密性能の3つの温熱性能を考えることが大切だと言われています。
まず夏冬の表面結露、夏も冬もなんですが、室内側の温かい湿った空気が外壁面の室内側に触れて結露する現象です。最初のアルミとシングルガラスの例です。これらの対策としてはまずは、断熱を強化することが大切です。断熱を強化することで冷たい部分を作らないようにする、冒頭に紹介したうちのマンションのインプラスの2重窓サッシがこれに当たります。やはりアルミよりも樹脂、シングルよりもペア、断熱性が良くなって表面温度が下がりにくくなります。また窓と窓の間の空気層も断熱強化になります。次に、湿度の管理です、多湿にならないようにしっかり換気することです。最近はあまり使わなくなった石油ストーブなどはかなり水蒸気を発生させますので控えたいところ。またガスコンロについても、調理することによってかなりの水蒸気を発生させますので、レンジフードで換気します。
次に内部結露です。こちらは室内から目視できない部分となりますので、しっかり検討しておきたいところです。まず冬は、温かい湿った空気が室内から室外へ温度を下げながら移動します、外部に近い当たりでここで冷たい部位に接すると結露の可能性があります。ここで大切なのは壁の室内側でしっかり湿気を止めるということ、壁の中に湿った空気を入れないことが大切です。そして、いったん壁の中に入ってしまった水蒸気をしっかり外に抜けるようにしておくことです。夏の内部結露に関しては、今度は室内が冷房により温度が下がってきます、そして外はみなさんお分かりの通り高温多湿、大阪などは特にそうなります。これを防ぐには、冬に防湿していたシートが夏には湿気を通す調湿シートが有効です。私たちも結露計算を実施するにあたり、ここの部分に注目しますが、シートやボードの材料によって結果が変わってきますので、とても興味深い部分です。
私は普段、一般社団法人住宅医の結露計算シート(定常計算)で確認します。あらかじめ材料がインプットされていますので、どのどの材料をどんな工法で計画するのか、何通りか仮説を立てながら実施します。また、メーカーさんに依頼して、WUFI(非定常計算)でも確認しながら計画を進めます。
結露と一言で言っても、いろんな原因があり、それは冒頭にお話ししたように、断熱、透湿、気密の性能も大切ですし、また、どんな暮らしをするか、暖房設備や換気設備に関しても問われる総合的な問題であると思います。