ある日曜日。
泉北ニュータウン近郊、少しそれると豊かな農村風景が開け
いつになく空を近くに感じながら、
両側畑に挟まれたまっすぐな道を走り抜ける。
走り進めるとロードサイドに、小さな小屋のような建物が、
切妻のトタン屋根から出た1本煙突から少しの煙をあげながら建っている。
建物の周りに、何台かの車やバイクが無造作に停めてあり、同じようにバイクを停めて建物内部に入ってみた。
アンティークなガラス框戸を、ガラガラと戸車が走る音をたてながら開けてみると、大きなアンプを経たアナログなスピーカーから柔らかな音質のジャズが流れている。足場板のような使い古したフローリングが敷き詰められている店内へ。
その空間の中心には無垢材の大きな長テーブルが横たわり、
お客さんはまばら、大小テーブルやカウンター、ソファスペースと、好きな居場所を選んで仕事、勉強や会話をしたりと、各々の時間を過ごしているようだ。
その中で、窓際の小さなテーブルに就いてみた。
窓からは、ようやく冬が終わろうとすることを告げるかのような、あたたかい日差しが、比較的暗い店内に、やわらかに入ってきている。
カウンターの奥から、この店のおすすめらしいカレーと、ひき立てのコーヒーの香りが広がっている。
不愛想なマスターが淹れてくれたコーヒーを味わいながら、
「今年も春が来たか。」そう呟いて、
デッキ越しに広がる春に向けて準備が始まった農村風景を眺めた。
って、こんな建物を造りたいなと妄想しながら。
ええ物件、ありませんかね。